●2● JISSEN NEWS 2006.冬 No.150



(社)実践教育訓練研究協会理事 統括業務担当
職業能力開発総合大学校 東京校    
生産機械システム技術科  中村佳史 氏

社団法人実践教育訓練研究協会(以下、実践協会という)は、1986年任意団体「実践教育機械系研究会」として産声をあげ研究会活動のスタートを切りました。1988年に電気・電子・情報系、1999年には建築・デザイン系が設立され現在の3系が出揃いました。また、1993年には協会設立者の方々の苦労が実り、異例の早さで社団法人「実践教育訓練研究協会」として当時の労働省から初めて学協会として認可され、学会の仲間入りを果たしました。
 早いもので実践協会は、任意団体時代を含めますと今年20年目を迎え、人間社会に例えるならば「成人」になったことになります。「成人」を迎えた実践協会の活動目的は、『高度な実践的技能および知識を有する人材の育成を行うための教育訓練(以下、実践教育訓練という)に係わる技法の確立および普及を図る』であります。
 そして、実践協会を取り巻く社会情勢をみますと、団塊世代の定年退職による熟練技術者不足いわゆる2007年問題対策、フリーター、ニート等若年者対策が問われています。一方、昨年末「労働政策審議会」から「第8次職業能力開発基本計画」の策定骨子となる提言が厚生労働大臣に建議されました。提言の中に課題として熟練技能の継承、若年者の育成について職業能力開発制度見直しと対応の必要性が明確に提言されています。
 このように、今社会は職業能力開発に期待をし、また必要としています。職業能力開発の先駆的、先導的役割を果たし、「実践教育訓練」の目的を達成するための実践教育訓練技法に関する数々の事業活動を展開し、実践協会会員の皆様の今まで培ってきたノウハウを生かす時が今まさに到来したといえるのではないでしょうか。そして、これを機に20年間継続してきた実践協会をさらに社会に評価、認知していただくよう活動展開をし、世に広くPRをしていただきたいと思います。
 さて、実践協会のパンフレットに「ものづくり・ひとづくり」とありますように、職業能力開発は働く者を人材として育て、その能力を高めることにより生産性の向上を図ることが目的であります。しかし、現在の人間社会をみると「信頼性喪失社会」「公共性喪失社会」になってはいないでしょうか。昨年、社会を騒がせた一連の構造計算書偽造事件はまさに人間社会の喪失現象の現れで、企業倫理・技術者倫理にかかわるものです。このことについては、「ものづくり・ひとづくり」および職業能力開発にも大きくかかわる問題として、会員の皆様と議論を深めたいと考えますし、ご意見を頂戴したいと思います。
 最後に会員の皆様には、今後とも実践ジャーナル、実践ニュース、実践教育研究発表会等の事業に積極的に参加していただくとともに、実践協会への若手会員拡大には特に協力いただき、活動の継続および活性化が図られるようお願いいたすところです。