関東職業能力開発大学校
実践教育訓練研究協会理事
中嶋俊一
実践協会として学生に資格を付与できないかどうかの検討を行っています。この件は今年9月末におこなわれた東北能開大での実践発表会の総会でも会員各位に報告し、また発表会会期中に実践資格検討作業部会を開きました。ここに資格付与の目的やどのようにして付与するのかなどの今までの検討内容をお知らせします。会員各位の本件についてのご意見,ご提案をいただけると幸甚です。
資格を付与する目的は次の通りです。「機構立および県立の職業能力開発大学校、職業能力開発短期大学校の修了学生に、仕上がり像を見据えた社会的整合性のある資格を実践教育訓練研究協会として付与する。これにより大学校修了生は、文部科学省大学の資格である学士または準学士に勝るとも劣らない資質を備えていることを社会に示す。」
資格を付与する学生の範囲としては,まず専門課程および応用課程の学生について検討し、次に卒業生を対象とします.民間短大の学生についても検討します。
日本で付与されている主な資格は次のとおりです。まず文部科学省は専門士(専修学校2年卒業)、高度専門士(専修学校4年卒業)を付与しています。一方大学評価・学位授与機構では、短期大学士(短大卒業)、準学士(高専卒業)、学士(高専専攻科卒業、大学卒業)、修士、博士です。雇用能力開発機構では高度実践技術者の称号を応用課程修了者に付与しています。以上が専修学校、高専、大学および雇用能力開発機構で付与している資格・称号です。各種法律では、職業能力開発促進法が技能士、技術士法では技術士を付与し、多くの高専、大学が加盟しているJABEEでは技術士を目指しています。
次に資格付与が実現可能かどうかですが、現在付与されている資格に便乗する場合には社会的整合性はとれますが、新しい資格を構築する場合には社会的な整合性をとるのは難しいと思われます。職業能力開発施設で社会的な認知がある資格は、技能士です。従って大学校または短期大学校で、技能照査に合格した学生に実践協会が資格を付与するのであればその資格は社会的に認知されると考えられます。尚実践協会が付与する資格は技能検定より上位の資格であるとの基本認識の上で進め、技能照査合格は資格付与のハードルの一つです。
技能照査合格者に資格を付与するとして、次の各項目を検討する必要があります。
(1)技能検定の社会的認知度の調査。
(2)技能検定受検時の技能照査合格者の持つ試験免除項目。
(3)資格付与の条件。
(4)資格の名称。
(5)資格付与の方法および費用。
これらの項目を検討し、学生に資格を付与する具体的な条件を詰め、会員各位に提案致します。 |