●2● JISSEN NEWS 2008.冬 No.158

    実践教育訓練研究協会会長就任のご挨拶    
   大竹 勉 新会長


 昨年の秋、実践教育訓練研究協会の総会におきまして会長を仰せつかりました。微力ながら一生懸命務めさせていただく所存でございますので、よろしくお願いいたします。

 昨年11月15日(木)〜18日(日)の4日間にわたって、静岡県沼津市で行われた「第39回技能五輪国際大会」を見学しました。この大会は22歳以下の若者が技能レベルを競う大会で、日本で開催されるのは1970年の東京大会、1985年の大阪大会に次いで3回目となります。今大会は46カ国・地域から816人の選手が参加し、競技種目は機械、電気・電子、情報、建築関連にとどまらず、パンの製造、造園、理容・美容など多岐にわたっていました。
 会場は県内外からの一般客、小学生・中学生・高校生の団体、競技関係者などでいっぱい、時には入場規制が行われるほどでした。

 さて、気になる成績ですが、上位五カ国の金メダル数は、日本が16個、韓国が11個、フランスが5個、スイスが4個、シンガポールが3個でした。このところ、金メダルの数で韓国に負け続けていた日本が巻き返しを図りました。日本が16種目で金メダルを獲得した背景には、選手の努力のほかに、企業がこれまでになく力をいれたこともあるようです。
 なかでもポリメカニクス(旧精密機械組立て)競技で日本は8連覇を達成し、精度を要する作製技術の高さを世界にアピールしました。このポリメカニクス競技は、旋盤やフライス盤などの工作機械を使って精密部品を作り、小型装置(今回の課題はミニ自動旋盤)を4日間で作り上げる競技です。装置を作る過程では、電気配線や空気圧配管の知識や技術も要求されます。
 NHKのテレビ放送でも紹介されましたが、小型装置のメカがスムーズ動くために、部品の寸法は1ミクロン以下の精度が必要だそうです。ところが工作機械には1ミクロン以下の目盛がないので、手の感覚で最終調整をするとのことでした。

 今回、技能五輪世界大会を見学し、国を挙げ、また企業も必死になって技術・技能の向上に取り組んでいる姿を見てきました。資源の少ないわが国が産業分野で世界と競争していくためには、高度なものつくり技術とそれを担う実践技術者の育成は重要な課題です。このことは、私たちの実践教育訓練研究協会が目指している「高度な実践的技能と知識とを有する人材の育成」とまったく一致するものです。
 私たちはわが国にとって重要な「実践技術者の育成」に携わっているのだということをあらためて再認識し、本協会でも実践技術者の育成に今まで以上の努力をしていきたいと思いますので、会員の皆様のご尽力をお願いいたします。