●2● JISSEN NEWS 2004.夏 No.144


北陸能開大での実践教育研究発表会開催にあたって

2004年実践教育研究発表会北陸大会 会長
北陸職業能力開発大学校 校長
          大住 剛




 「2004年 実践教育研究発表会」が北陸職業能力開発大学校(魚津市)で開催されることになり、準備を進めているところであります。実践教育訓練研究協会の会員になって日の浅い私が発表会の歴史を振り返るのもおこがましいのですが、その歴史の古さを知る意味で簡単にたどってみます。1986年、実践教育機械系研究会が発足し、1988年には電気・電子・情報系研究会が設立されました。発表会開催地が系によって違いますが、第1回実践教育研究発表会が開催されております。翌年1989年、3系連合体としての実践教育研究会が設立されましたが、発表会開催地は系によって違っていたようです。1990年、第3回から各系が同一会場で発表会を開催するようになり、第17回は本校での開催となります。実践教育訓練研究協会の定款によれば「実践教育訓練に関わる技法の確立と普及」を目的としており、訓練教育法の研究が強く印象づけられます。教育訓練に携わる多数の教官が一堂に会して、お互い教育法、教材を磨く場としてこの発表会は長い歴史を持っていることになります。日進月歩の工業技術の中にあって技術立国を目指す我が国にとって、技術教育が効果的に、かつレベルアップが図られるために文部科学省系教育施設でもJABEE、教育COEなど工業教育法を重視している点がうかがわれます。立場、対象が異なっても創造的ものづくり教育の研究には本協会の活動、研究発表会は重要であります。本年の大会テーマは「明日の主役・ものづくり技術者を育む」であります。少子化が進む中学生の学力が多様化しており、技術者の再教育や若年者を育てる実践技術教育者の努力と活躍が期待されます。従って、協会の定款の精神による教育法と教材の開発研究が益々重要であります。その意味で私たちのこの施設で開催される発表会を通して各会員のレベルアップのお手伝いが出来ることは光栄と思っています。
 本大会に用意したプログラムは一般講演68件、ポスターセッション4件、特別講演として北陸地域で活躍する和服縫製システムに創造的工夫を凝らして成功している女性社長をお迎えしています。大会テーマの中の「育む」には育まれる学生のレベル保証が重要であります。シンポジウムではその点にスポットを当てた討論を予定しています。また、建築・デザイン系では地域の資源を利用した地域循環型の創造的ものづくり実践例をもとに、「とやまの木で家をつくる」をテーマとしたシンポジウムおよび「ひとづくりフォーラム」で実践的人材育成施設と伝統文化の見学が企画されています。
 北陸の地の紹介は別紙に譲りますが、標高0メートルの富山湾から標高3000メートルの立山連邦までの自然を体験できます。この機会に北陸での仕事と旅を楽しんでほしいものと思っております。
2004/8/7 原稿受理  




 北陸地方は、日本海に面しており、かつ、日本アルプスを背にしているところから、豪雪地帯のイメージを抱かれる方が多いかと思います。さらに、コシヒカリをはじめとする米どころであるという方もいるでしょう。そして、冬の味覚(ズワイガニ、寒鰤)で知られている方もいるでしょう。そこで、歴史的な観点から北陸地方を紹介します。その昔、古墳時代の大和政権下では、「越(高志)の国」と呼ばれていました。天武天皇の御代に国郡が制定され、越の国(福井県、石川県、富山県、新潟県)を越前、越中、越後の三国に分けました。そして、越中はさらに8郡(現在の富山全県、新潟県の一部)に分けられました。その後、郡の増減が幾度か行われ、天平宝字元年(757)に越中は現在の富山県とほとんど同じ、砺波、射水、婦負、新川の4郡に落ち着いたそうです。ちなみに、万葉の歌人大伴家持が越中の国守として赴任した際は、能登4郡も越中に含まれていたそうです。